プログラミング言語「ドリトル」

大阪電気通信大学 兼宗研究室

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ch_pingpong

ピンポンゲーム

このActivityでは、ボールをラケットで打ち返すピンポンゲームを作ってみる。

作成するゲーム

画面には四角い枠が描かれており、その中にボールの役割をするタートルと、長方形のラケットがある。ボールはラケットや壁にぶつかると跳ね返る。ラケットは左側の2個のボタンで上下に操作する。

ボールを制限時間の間、ラケットで打ち返し続けられたらクリアとなる。一回でもラケットの後ろの壁にボールがぶつかると、ゲームオーバーとなる。

壁を作る(ステップ1)

最初に、ゲームに登場するオブジェクトを画面に置くことにする。このゲームでは、5個の長方形が登場する。上下と右にある長方形は、ボールを跳ね返す壁である。左には2つの長方形が存在する。小さいほうはパドルである。ゲームをする人は、このパドルを上下に動かしてボールを打ち返す。大きいほうは、パドルでボールを打ち返せなかったことを知るための壁である。ボールがこの壁にぶつかると、ゲームオーバーになる。

次のプログラムでは、5個の長方形を作成している。プログラムを簡単にするために、線の太さで太さ20の線を描くことで長方形とした。続いて、コの字の形に線を描き、「壁」という名前の図形を作っている。続いて上を向いた後、左壁とパドルを作っている。

このプログラムのように、座標を指定して図形やボタンを画面に置く場合には、終了ボタンの隣にある方眼紙をチェックして、位置を確認しながらプログラムを作ると便利である。

 // 壁を作る(ステップ1)
 かめた=タートル! 作る。
 かめた!(緑)線の色 20 線の太さ。
 かめた!500 歩く 90 右回り 420 歩く 90 右回り 500 歩く。
 壁=かめた!図形を作る -200 200 位置。
 かめた!90 右回り。
 左壁=かめた!(黄)線の色 440 歩く 図形を作る -210 -230 位置。
 パドル=かめた!(青)線の色 120 歩く 図形を作る -190 -210 位置。

パドルを動かす(ステップ2)

画面にボタンを表示して、パドルを上下に動かしてみよう。次のプログラムでは、画面の左側に「上ボタン」と「下ボタン」という名前の2つのボタンを表示して、それぞれが押されたときにパドルを上下に50ずつ移動させている。今回はボタンの2個目のパラメータにUPDOWNを指定することで、上下の矢印キーでも操作できるようにした。

 // パドルを動かす(ステップ2)
 上ボタン=ボタン! "上" "UP" 作る -380 50 位置。
 下ボタン=ボタン! "下" "DOWN" 作る -380 0 位置。
 上ボタン:動作=「パドル! 0 50 移動する」。
 下ボタン:動作=「パドル! 0 -50 移動する」。

ボールを動かす(ステップ3)

「かめた」 には、壁やパドルを描いた後で、ボールの役割をしてもらうことにする。次のプログラムでは、かめたが移動したときに線を引かないように、ペンなしを実行している。ボールは、最初は右の壁に向かって動くようにした。タートルの初期位置は、乱数を使い、少しずつ異なる位置から動き始めるようにした。横の位置(x座標)は「乱数(200)」で1から200の値に、縦の位置(y座標)は「乱数(300)- 150」で-149から150の値になる。タートルの初期角度は45度で固定とした。

タートルが壁やパドルに衝突したときは、跳ね返る動作をすることが望ましい。そこで、かめたの衝突には、タートルオブジェクトの跳ね返るを設定した。タートルのぶつかった向きに合わせて、自然な角度で跳ね返ることができる。

最後にタイマーを生成し、「かめた!20 歩く」を0.1秒間隔で60秒間繰り返し実行するようにした。実行すると、かめたが壁で囲まれた空間を跳ね返りながら動き回る。

 // ボールを動かす(ステップ3)
 かめた! ペンなし。
 かめた!(乱数(200))(乱数(300)-150)位置。
 かめた!45 向き。
 かめた:衝突=タートル:跳ね返る。
 時計=タイマー! 作る 60秒 時間「かめた!20 歩く」実行。

ゲームの勝敗を判定する(ステップ4)

このゲームでは、パドルでボールを打ち返せずに1回でも左壁にボールが衝突したら負け(ゲームオーバー)とする。そして、タイマーでボールが動いている時間内にボールが左壁に衝突しなければ勝ち(ゲームクリア)である。

次のプログラムでは、勝敗を判定するために、「ゲームクリア」という変数を導入した。この変数にははいまたはいいえという真偽値を代入して使う。初期値は「はい」であるが、ボールが左壁に衝突したときは「いいえ」 を代入する。このとき、「ゲームクリア」をルートのプロパティとして扱うために、前に「:」を付けている。そして、タイマーの実行を中断している。

タイマーが終了した後の処理は「最後に実行」で行う。タイマーがどのように終了したのかは、「ゲームクリア」の値で判定している。値が真(はい)の場合は、無事に60秒間経って終了したので、青い字で「ゲームクリア」を表示している。値が偽(いいえ)の場合は、左壁に衝突して中断したので、赤い字で「ゲームオーバー」を表示するようにした。

 // ゲームの勝敗を判定する(ステップ4)
 ゲームクリア=はい。
 左壁:衝突=「:ゲームクリア=いいえ。時計! 中断」。
 時計!「
   「ゲームクリア==はい」! なら「
     ラベル! "ゲームクリア! "作る (青)文字色。
   」そうでなければ「
     ラベル! "ゲームオーバー! "作る (赤)文字色。
   」実行。
 」最後に実行。

以上でピンポンゲームは完成である。実行すると、左壁に衝突したときは「ゲームオーバー!」が表示される。時間内にすべてのボールをパドルで打ち返せたときは、「ゲームクリア!」が表示される。

最後にステップ1からステップ4までの全体のプログラムを掲載しておく。

 // 壁を作る(ステップ1)
 かめた=タートル! 作る。
 かめた!(緑)線の色 20 線の太さ。
 かめた!500 歩く 90 右回り 420 歩く 90 右回り 500 歩く。
 壁=かめた!図形を作る -200 200 位置。
 かめた!90 右回り。
 左壁=かめた!(黄)線の色 440 歩く 図形を作る -210 -230 位置。
 パドル=かめた!(青)線の色 120 歩く 図形を作る -190 -210 位置。
 
 // パドルを動かす(ステップ2)
 上ボタン=ボタン! "上" "UP" 作る -380 50 位置。
 下ボタン=ボタン! "下" "DOWN" 作る -380 0 位置。
 上ボタン:動作=「パドル! 0 50 移動する」。
 下ボタン:動作=「パドル! 0 -50 移動する」。
 
 // ボールを動かす(ステップ3)
 かめた! ペンなし。
 かめた!(乱数(200))(乱数(300)-150)位置。
 かめた!45 向き。
 かめた:衝突=タートル:跳ね返る。
 時計=タイマー! 作る 60秒 時間「かめた!20 歩く」実行。
 
 // ゲームの勝敗を判定する(ステップ4)
 ゲームクリア=はい。
 左壁:衝突=「:ゲームクリア=いいえ。時計! 中断」。
 時計!「
   「ゲームクリア==はい」! なら「
     ラベル! "ゲームクリア! "作る (青)文字色。
   」そうでなければ「
     ラベル! "ゲームオーバー! "作る (赤)文字色。
   」実行。
 」最後に実行。

今後の改良としては、難易度を選べるようにして、実行時間、ボールの速さ、パドルの大きさなどを変えられるようにしてもよいかもしれない。また、パドルで打ち返した回数をカウントし、得点として表示することも考えられる。

ch_pingpong.txt · 最終更新: 2018/02/09 11:04 by klab