プログラミング言語「ドリトル」

大阪電気通信大学 兼宗研究室

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dncl

DNCL学習環境「どんくり」

  • どんくりは大学入試センター試験のプログラミングの出題に使われているDNCLの学習環境です。
  • アルゴリズムの記述に適しています。
  • オンラインで利用できる他、ダウンロードしてローカルで利用できます。
  • 大阪電気通信大学 兼宗研究室(本多佑希、長瀧寛之、兼宗進)で開発を進めています。

使い方

  • オンライン版はインストールなしでブラウザで動作します。
    • サンプルプログラムが用意されています。
    • Google Chromeで動作を確認しています。
  • インストール版は、ダウンロードしてファイルを展開してください。管理者権限は不要です。

履歴

  • 2018/10/10 開発版V0.2を公開しました。
  • 2018/8/11 開発版V0.1を公開しました。(オンライン版Windows用(約100MB)、Mac用(約100MB))

言語と命令の説明

  • 以下は言語の説明と使用できる命令です。公式の仕様書に準拠しているほか、独自の「拡張機能」を用意しています。
  • プログラムの中で、「数字、英字、記号、空白」は全角半角(日本語文字と英語文字)を区別せずに使えます。
    • 日本語の長音「ー」とマイナス「−」は区別されます。
    • 掛け算は「*」「*」「×」を使います。
    • 割り算は「/」「/」を使います。(整数の割り算は「÷」、整数の余りは「%」「%」を使います)
    • 大小の比較は「>」「>」、「>=」「≧」、「<」「<」、「< =」「≦」、「=」「=」、「!=」「≠」を使います。
    • 論理演算は「かつ」「または」「でない」を使います。
    • 代入は「←」を使います。
  • プログラムの英語表示と編集が可能です。
    • 「DNCL」と「英語表示」を切り替えることで、日本語のDNCL表記とC言語風の表記が変換されます。
      • ※ インデントが自動調整されます。改行位置が変わったり、空白行が無くなったりする可能性があります。
    • 掛け算は「*」を使います。
    • 割り算は「/」を使います。(整数の割り算は「÷」、整数の余りは「%」を使います)
    • 大小の比較は「>」、「>=」、「<」、「< =」、「==」、「!=」を使います。
    • 論理演算は「&&」「||」「!」を使います。
    • 代入は「=」を使います。

変数

変数名は英字(a-z,A-Z)で始まり、その後に英字、数字、「_」が続きます。 変数には「←」(英語表示では「=」)で初期値を代入してから使います。 配列の場合は後述の「〜のすべての値を〜にする(allinit)」で初期値を設定してから使うこともできます。 複数の代入文を「,」で区切って並べられます。

x ← 3
Arr ← {1, 2, 3}
moji_moji ← "文字"
x ← 3, y ← 4
// 英語表示
x = 3;
Arr = {1, 2, 3};
moji_moji = "文字";
x = 3, y = 4;

増やす/減らす

変数の値を指定した数だけ増減します。 未定義の変数を対象に実行した場合には、0が代入されてから実行されます。

xを1増やす
yを50減らす
// 英語表示
x += 1;
y -= 50;

表示文

式や変数の値を表示します。 複数の値を「と」で区切って指定できます。 改行の有無を指定できます。

xを表示する
123+456と"aiueo"と改行を表示する
"こんにちは"を改行なしで表示する
// 英語表示
println(x);
println(123+456,"aiueo");
print("こんにちは");

数値

小数点付きの数値を使えます。 先頭にマイナス(-)符号を付けられます。

123
123.456
-123

四則演算

+, -, ×, - は小数点を考慮した計算を行います。÷, % は整数の計算を行います(商と余り)。英語表示の乗算は*を使います。

1+2
1-x*50%4

比較演算

>, <, ≧, ≦, =, ≠ を使えます。英語表示では >, <, >=, < =, ==, != を使います。

1>2
2≠1

論理演算

「かつ」「または」「でない」を使えます。英語表示では &&, ||, ! を使います。

1>2 または 2>1
1>0 かつ 5>3 でない
// 英語表示
1>2 || 2>1
!(1>0 && 5>3)

文字列

“ ”または「 」で囲って文字列を記述します。

"こんにちは"
「こんばんは」

両辺のどちらかが文字列の場合は、「+」は「数の足し算」ではなく「文字の連結」の意味になります。

3+"こんにちは"  // 結果は"3こんにちは"
「こんばんは」+3 // 結果は"こんばんは3"
3+"4"         // 結果は"34"

配列参照

配列の要素は、配列名の後に[ ]で囲み添え字を書きます。 要素は1から始まります。 多次元配列は、「,」で区切って要素を指定します。英語表示では[ ]を並べて指定します。

x ← Arr[1]
y ← Arr[1,2]
// 英語表示
x = Arr[1];
y = Arr[1][2];

配列の初期値設定

配列の要素の初期値を設定します。

Arrのすべての値を0にする
// 英語表示
allinit(Arr, 0);

関数呼び出し

関数名の後に引数を()で指定します。英語表示では組込関数は英語名になります。

書く()
二倍(100)
乗算(100,200)
追加する(Arr,15)
// 英語表示
書く();
二倍(100);
乗算(100,200);
add(Arr,15);

繰り返し

for文に相当する反復は次のように記述します。

iを0から10まで1ずつ増やしながら、
    iを表示する
を繰り返す

iを10から0まで1ずつ減らしながら、
    iを表示する
を繰り返す
// 英語表示
for( i=0 ; i<=10 ; i+=1 ){
  print(i);
}
for( i=10 ; i>=0 ; i-=1 ){
  print(i);
}

while文に相当する反復は次のように記述します。

i←0
i<10の間、
    iを表示する
    i←i+1
を繰り返す
// 英語表示
i=0;
while(i<10){
  print(i);
  i+=1;
}

回数を指定した繰り返し文は、次のように記述します。

i ← 0
ここから5回、
  iを表示する
  iを1増やす
を繰り返す
// 英語表示
i=0;
repeat(5){
  print(i);
  i+=1;
}

条件分岐

if文に相当する分岐は次のように記述します。

もし1≠1ならば
    1を表示する
を実行し、そうでなくもし2≠2ならば
    2を表示する
を実行し、そうでなければ
    3を表示する
を実行する
// 英語表示
if(1!=1){
  print(1);
}else if(2!=2){
  print(2);
}else{
  print(3);
}

実行したい文が1文の場合に限り、次のように書くこともできます。

もし1=1ならば"Hello"を表示する
// 英語表示
if(1==1) print("Hello");

以下は独自拡張の機能です。

配列の初期値

値は全体を { } で囲み、「,」で値を区切ります。

{1,2,3}
{1,2,{3,4,5},6}

配列の要素を入れ替える

「入れ替える(swap)」は、配列の要素を入れ替えます。

Arr ← {"a","b","c"}
入れ替える(Arr,1,3) // 配列の値は{"c","b","a"}になる

配列の要素を削除する

「削除(remove)」関数は、番号を指定して配列の要素を削除します。

Arr ← {"a","b","c"}
削除(Arr,2) // 配列の値は{"a","c"}になる

配列に要素を挿入する

「挿入(insert)」関数は、番号を指定して要素を挿入します。

Arr←{"a","b","c"}
挿入(Arr,"d",2) // 配列の値は{"a","d","b","c"}になる

配列の要素数を取得する

「要素数(length)」関数は、配列の要素数を取得します。

Arr←{"a","b","c"}
要素数(Arr) // 結果は3が返される

変数の確認

「確認(dump)」関数は、プログラムの中で使われている変数の値を確認します。

Arr ← {1,2,3,4,5}
x ← 「あいうえお」
確認()

(出力例)
確認-------------------
Arr => { 1, 2, 3, 4, 5 }
x => あいうえお
-----------------------

関数の定義

関数は次のように定義します。 ()の中に引数を記述できます。

あいさつ()は
    「こんにちは」を表示する
を実行する

書く(str)は
    strを表示する
を実行する
// 英語表示
function hello(){
  print("hello!");
}
function write(str){
  print(str);
}

次の例は、関数に戻り値を設定します。

二倍(num)は
    num×2を返す
を実行する

二倍(5)を表示する // 10が表示される
// 英語表示
function twice(num){
  return num*2;
}
print(twice(5));

性能の確認

関数またはプログラムの性能を測定します。 以下の内容を測定しています。

  • 実行時間
  • 各for文/while文のループ回数
  • 各if文の「条件判定を行った回数」「真が評価された回数」「偽が評価された回数」
  • 各関数の呼出回数

次の例は、関数の性能を測定します。

倍数判定()は
    xを1から10まで1ずつ増やしながら、
        xを改行なしで表示する
        もしx%3=0ならば
            「<-3の倍数!」を表示する
        を実行し、そうでなければ
            改行を表示する
        を実行する
    を繰り返す
を実行する
倍数判定()の性能を確認する
// 英語表示
function is_multiple(){
  for( x=1 ; x<=10 ; x+=1 ){
    print(x);
    if(x%3==0){
      println("<-3の倍数!");
    }else{
      println(\n);
    }
  }
}
profile(is_multiple());
(出力例)
1
2
3<-3の倍数!
4
5
6<-3の倍数!
7
8
9<-3の倍数!
10
統計情報------------------
(実行時間)
0.007秒
(実行回数)
for1 : 10
if1 : 比較 10, 真 3, 偽 7
(呼び出し回数)
倍数判定 : 1
--------------------------

次の例は、プログラム全体の性能を確認します。

倍数判定()は
    xを1から10まで1ずつ増やしながら、
        xを改行なしで表示する
        もしx%3=0ならば
            「<-3の倍数!」を表示する
        を実行し、そうでなければ
            改行を表示する
        を実行する
    を繰り返す
を実行する
倍数判定()
倍数判定()
性能を確認する
// 英語表示
function is_multiple(){
  for( x=1 ; x<=10 ; x+=1 ){
    noNL_print(x);
    if(x%3==0){
      print("<-3の倍数!");
    }else{
      print(\n);
    }
  }
}
is_multiple();
is_multiple();
performance();
(出力例)
1
2
3<-3の倍数!
4
5
6<-3の倍数!
7
8
9<-3の倍数!
10
1
2
3<-3の倍数!
4
5
6<-3の倍数!
7
8
9<-3の倍数!
10
統計情報------------------
(実行時間)
0.018秒
(実行回数)
for1 : 20
if1 : 比較 20, 真 6, 偽 14
(呼び出し回数)
倍数判定 : 2
--------------------------
dncl.txt · 最終更新: 2023/07/11 17:54 by klab