ch_nw_pingpong
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ch_nw_pingpong [2018/01/04 01:32] – 作成 kanemune | ch_nw_pingpong [2018/02/09 11:06] (現在) – klab | ||
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+ | # ネットワークゲームを作ろう | ||
+ | ネットワーク機能を使って、教室の中で友だちとゲームをするプログラムを作ってみよう。題材は、**ch_pingpong** で作ったピンポンゲームを対戦型に拡張したものである。 | ||
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+ | 作成したゲームの画面を示す。画面は左側と右側のプログラムで異なるが、内容はほとんど同じであるため、左側のプログラムを例に説明する。ピンポンゲームと変わらない部分については、**ch_pingpong** を参照してほしい。 | ||
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+ | ## 壁を作る(ステップ1) | ||
+ | 最初に、ゲームに登場するオブジェクトを画面に置く。上下にある長方形は、ボールを跳ね返す壁である。左の小さいほうの長方形はボールを打ち返すパドルである。大きいほうの長方形は、パドルでボールを打ち返せなかったことを知るための壁である。ボールがこの壁にぶつかると、ゲームオーバーになる。 | ||
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+ | 次のプログラムでは、4個の長方形を作成している。プログラムを簡単にするために、**線の太さ**で太さ20の線を描くことで長方形とした。続いて、上壁を作ってから複製して下壁を作り、続いて左壁とパドルを作っている。 | ||
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+ | // 壁を作る(ステップ1) | ||
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+ | ## パドルを動かす(ステップ2) | ||
+ | 画面にボタンを表示して、パドルを上下に動かせるようにする。次のプログラムでは、画面の左側に「上ボタン」と「下ボタン」という名前の2つのボタンを表示し、ボタンが押されるか上下の矢印キーが押されたときにパドルを上下に50ずつ移動させている。 | ||
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+ | {{: | ||
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+ | // パドルを動かす(ステップ2) | ||
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+ | ## ボールの動きを定義する(ステップ3) | ||
+ | 「かめた」はボールの役割をする。毎回少しずつ違った位置からゲームが始まるように、横の位置は左右の中央で、縦の位置は乱数を使い、-149〜150の範囲でランダムになるようにした。壁にぶつかると、自然な角度で跳ね返る。 | ||
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+ | // ボールの動きを定義する(ステップ3) | ||
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+ | ## 通信を準備する(ステップ4) | ||
+ | ゲームをする2つの画面の間では、ボールがどのような状態にあるかという情報を、お互いに交換して合わせておく必要がある。たとえば、ひとつの画面でパドルと衝突して跳ね返ったら、もうひとつの画面でも同様に向きを変える必要がある。 | ||
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+ | そこで、自分のボールの状態をサーバーに書き込む「書き込み」というメソッドと、相手のボールの状態をサーバーから読み出す「読み出し」というメソッドを定義することにした。 | ||
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+ | 次のプログラムで、「書き込み」の中では、現在のボール(「かめた」)から位置と向きの情報を取り出し、それぞれ「x」、「y」、「t」という名前でサーバーに保存している。「読み出し」の中では、サーバーから位置と向きの情報「x」、「y」、「t」を取り出し、ボール(「かめた」)にセットしている。 | ||
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+ | ステップ4からステップ6までを実行するには、サーバーと相手の画面が必要になる。詳しくはステップ7で説明する。 | ||
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+ | // 通信を準備する(ステップ4) | ||
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+ | ## 通信しながらボールを動かす(ステップ5) | ||
+ | ステップ5は、このプログラムの中心的な部分である。行っている処理は画面上のボールを動かすことだが、ボールは両方の画面で同じように表示される必要があるため、サーバーを介した通信を行うことで、ボールの状態をお互いに合わせている。 | ||
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+ | 次のプログラムでは、最初に、サーバーに接続する。続いて、ステップ4で定義した「書き込み」を実行して、ボールの位置をサーバーに書き込む。そしてタイマーを作成する。ここまでが、プログラムを開始するときの動作である。 | ||
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+ | 続いて、ゲームの処理を行う。本質的な動作は次の1行で記述できる。つまり、タイマーでボール役の「かめた」を前進させる動作である。 | ||
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+ | ここでは、他の画面とボールの状態を合わせるために、最初に「読み出し」でサーバーから相手のボールの状態を取得して、ボールを正しい位置に置く。続いてボールを移動し、移動後の新しい状態を「書き込み」でサーバーに書き込んでいる。 | ||
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+ | // 通信しながらボールを動かす(ステップ5) | ||
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+ | ## ゲームの勝敗を判定する(ステップ6) | ||
+ | 最後に、タイマーが終了するまでゲームを続けられた場合には「ゲームクリア」というメッセージを表示する。この部分はピンポンゲームと同じであるため、詳しくは**ch_pingpong** を参照されたい。 | ||
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+ | // ゲームの勝敗を判定する(ステップ6) | ||
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+ | ステップ1からステップ6までの全体のプログラムを掲載しておく。これは左側の画面で実行するプログラムである。 | ||
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+ | // 壁を作る(ステップ1) | ||
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+ | // パドルを動かす(ステップ2) | ||
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+ | // (続き) | ||
+ | // ボールの動きを定義する(ステップ3) | ||
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+ | // 通信を準備する(ステップ4) | ||
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+ | // 通信しながらボールを動かす(ステップ5) | ||
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+ | // ゲームの勝敗を判定する(ステップ6) | ||
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+ | ## プログラムを実行する(ステップ7) | ||
+ | この節で作成しているプログラムは、サーバーや相手の画面と協調して | ||
+ | 動作するため、単体では動かない。実行するための手順を説明する。 | ||
+ | |||
+ | まず、サーバーを起動する。サーバーはどのコンピュータで起動しても | ||
+ | よいが、ここでは左側の役割をする画面を実行するコンピュータで動か | ||
+ | すことにする。サーバーを起動するには、ドリトルの編集画面(プログ | ||
+ | ラムを入力する画面)を開き、右側にある**server**をマウスでチェッ | ||
+ | クする。すると、サーバーのウィンドウが画面に表示される。サーバー | ||
+ | の画面自体は使わないので、開いたまま放っておく。 | ||
+ | |||
+ | 次に、右側の画面を実行するために、もうひとつドリトルの画面を起動 | ||
+ | する。右側の画面で実行するプログラムを示す。左側の画面との違いは、 | ||
+ | 画面上のパドルなどが左右逆に配置されていることと、ボールの初期位 | ||
+ | 置をサーバーに設定しないこと、そしてボールが両方の画面で自然な位 | ||
+ | 置に表示されるように、ボールの位置を100だけ左にずらしてサーバー | ||
+ | に書き込んでいることである。 | ||
+ | |||
+ | このプログラムを左側の画面と同じコンピュータで実行する場合は変更 | ||
+ | の必要はないが、別のコンピュータで実行する場合には、左側の画面の | ||
+ | コンピュータを実行しているコンピュータのホスト名またはIPアドレス | ||
+ | を調べて、プログラム中の「localhost」の部分を書き換える必要があ | ||
+ | る。 | ||
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+ | // 壁を作る(ステップ1) | ||
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+ | // パドルを動かす(ステップ2) | ||
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+ | // ボールの動きを定義する(ステップ3) | ||
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+ | // 通信を準備する(ステップ4) | ||
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